多くの方が住宅購入時に住宅ローンを使われるでしょう。住宅ローンの金利の負担を減らしてくれる「住宅ローン控除」は言葉だけは知っているけど中身まではよくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「住宅ローン控除って何?」
「築年数が古くても住宅ローン控除は使えるの?」
「どんな手続きが必要なの?」
住宅ローン控除とは、住宅取得のために住宅ローンを借り入れた場合に、 住宅取得者の金利負担を軽減するための資金援助を目的として、所得税や住民税が控除される制度です。 いくら低金利の時代といっても、金利の負担は家計にとって一大事でしょう。例えば、3500万円を変動金利0.6%で35年借りた場合の利息は約380万円。 ローン控除をかしこく利用することで、家計の負担を減らすことができます。
「年間40万円」を上限に年末のローン残高の1%が10年にわたり、所得税(と住民税)から控除されます。 ただし、中古物件の多くは売主が個人の場合が多く、消費税がかかりません。その場合、年間の控除額の上限は「年間20万円」 となりますので、注意が必要です。下記の例をみてみましょう。売主が法人か個人かが見分けるポイントです。
例①:新築の建売戸建てを買う場合売主:法人(住宅メーカー等)
消費税:かかる
上限:年間40万円
例②:中古マンションを買う場合売主:個人(住み替え等で物件を売りに出した個人所有の物件)
消費税:かからない
上限:年間20万円
例③:リフォーム済み中古マンションを買う場合売主:法人(不動産会社が所有している物件)
消費税:かかる
上限:年間40万円
中古物件を購入して、リノベーションを検討している方の多くは例②に当てはまるでしょう。「不動産会社にお願いしたし、仲介手数料を払ったから不動産会社から買ったんでしょ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産会社はあくまで「仲介」をしただけで、売主は個人になります。販売図面をよく見ると、「消費税」という項目は書いてないはずです。
リノベーションもローン控除対象になる
中古物件に対してだけではなく、100万円以上の工事費でローンを組んだ場合は、住宅ローン減税が受けられます。住宅ローン控除の対象となる工事は下記の通りです。
・増築、改築、建築基準法で規定された大規模な修繕や模様替え工事
・居室、浴室、キッチンなどの1部屋について床または壁のすべてを修繕、模様替えする工事
・耐震基準工事
・バリアフリー化工事
・省エネ対応工事
ローン控除を受けるための要件
ローン控除を受けるにあたっては、利用者と物件の2つ要件をクリアする必要があります。それぞれみていきましょう。
利用者側の制約
・取得の日から6ヶ月以内に入居して、継続して住んでいるかどうか
・所得が3000万円以内かどうか
・ローンの返済が10年以上かどうか
・長期譲渡所得の課税の特例を利用していないかどうか
物件の制約
・登記簿50㎡以上、床面積の1/2以上が専ら自己の居住の用に供するものであること
・対象物件が建築された日から取得日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の場合は25年)以下であること。それに該当しない場合は、耐震基準適合証明書の発行を受けていること
・取得の時に生計を一にしており、その取得後も引き続き生計を一にする親族や特別な関係がある者などからの取得や贈与による所得でないこと
下記の7つが住宅ローン控除に必要な書類です。
最初に集めるのは③~⑦です。
①確定申告書
②住宅借入金特別控除額の計算明細書
③住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
④工事に係る増改築等工事証明書
⑤家屋の登記事項証明書、請負契約書の写し
⑥補助金等の額を証する書類、住宅取得等資金の額を証する書類の写し
⑦給与所得の源泉徴収票
③~⑦の書類が用意できたら、その内容を元に②計算明細書を作成します。そこで算出された控除額などを①確定申告書に記入します。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整のみ必要となります。