理想の住まいを手軽に実現できる方法として人気のリノベーション。自身や家族が長く暮らす住まいのことですから、できれば失敗はしたくないものです。この記事では、リノベーションでよくある4つの失敗と回避策を中心に紹介していきます。リノベーションで失敗しないためにあらかじめ知っておきたいポイントも解説しますので、リノベーションを検討している方は必見です。

建物構造や見えない設備に要注意

フルリノベーションなら、内装や設備など表面的な部分はほぼゼロベースで見直せますが、建物構造は変更できません。そのため、建物構造に起因する制約によって、希望していたリノベーションを実現できない場合があるのです。一例として中古マンションの建物構造は、大きく分けて次の2つがあります。


・壁式構造

耐力壁と呼ばれる壁で建物を支える構造。壁の多くが建物を支える役割を果たしているので、壁を取り払うような間取り変更は難しいでしょう。一方、部屋内に梁や柱が出てこないため、部屋が成形で開放的。家具のレイアウトも決めやすいのがメリットです。
例えば、隣接する部屋の壁を取り払って二間続きの開放的な空間を作りたかったのに、購入物件が壁式構造だったために諦めざるを得ない、というような失敗が起こり得るのです。
 

・ラーメン構造

柱や梁でできた枠組みで建物を支える構造。構造上取っても問題ない壁が多いので、間取り変更の自由度が高いのが特徴です。ただ、部屋内に梁や柱が出てくるため、デザインにセンスが必要な場合があります。建物構造と合わせて気をつけたいのが、床下・天井裏といった見えない部分の配管や設備の老朽化や破損。工事を開始してから発覚すると、修復のために追加コストがかかる可能性があるので注意しましょう。他にも、物件によって水回りの移動が難しい場合もあります。


回避策:現地をしっかり確認、修繕履歴もチェック

建物構造による失敗を防ぐためには、まずリノベーションプランの方向性をしっかり決めておくのが大切。間取りをどうしたいのか、水回りはどのような空間にしたいのか、といった考えを明確にした上で、プランを実現できる物件を選ぶようにしましょう。

物件候補は現地で確認し、可能な限り床下や天井裏などの見えない部分もチェックしたいところ。管理会社やオーナーに修繕履歴を確認しておくとより安心です。素人では判断できない部分については、プロに物件や図面を一緒に見てもらい、アドバイスをもらうのがおすすめです。

資金計画を上手く立てられず予算オーバー

既に所有している家をリノベーションする場合はリノベーション費用だけを見込めばいいですが、新たに物件を購入してリノベーションするなら、物件購入費用とリノベーション費用を合わせて予算を考えなければなりません。物件購入+リノベーションにはまとまった金額が必要になるため、多くの方がローンの利用を検討することでしょう。

物件購入+リノベーションまで一貫した資金計画を立て、その計画に合ったローンを組めないと、予算オーバーで希望するリノベーションを実現できなくなる可能性が高いのです。

ローンと予算は常に全体像を意識して

資金計画やローン組成による失敗の原因として、物件購入費用、リノベーション費用、ローン借入といった金銭面の要素を別々に捉えてしまうことが挙げられます。最終的にかかる費用は全てをまとめたものであり、費用を賄うためにはローンが欠かせません。

なお、自己負担分とローンを組める金額の合計が予算上限となります。無理のない予算を設定しておくことはもちろん大切ですが、予算の前提として、自身の収入や経済状況でローンはいくらまで組めるのかを把握しておくのも大切なのです。

予算オーバーによるリノベーションの失敗を回避するためには、物件探し・プランニング・資金計画の3要素を常に一体で考えるようにしましょう。物件探しとプランニングを別の会社で行う場合、それぞれの会社で予算を多く見積もるなどバランスが難しくなることもあります。ワンストップの会社に依頼する場合は、全体予算の中で物件探しとプランニングを行うため予算の取り合いになることがありません。別会社に依頼する場合の回避策は、まず大まかなリノベーションプランを持った上で物件探しを行い、良さそうな物件が見つかったら資金計画的に問題ないかをプロに相談しながら検討します。

この時に物件購入費用だけでなく、リノベーション費用もトータルで予算内に収まるかを検証するのです。

<キッチンにおけるリノベーションの失敗事例>
・リノベーション後は大きな冷蔵庫を置きたいと思っていたのに、リノベーションで十分な通路幅を確保しなかったため、扉を開けると通路に引っかかることが判明して諦めざるを得なかった
・キッチンは明るく開放的なほうがいいと考えて大きな窓を設けたところ、夏は西日が強く、食材が腐りやすい空間になってしまった
・憧れの対面式キッチンにした結果、通路幅が狭くなってしまい、2人以上で同時に作業するのが難しくなってしまった


<リビングにおけるリノベーションの失敗事例>
・間取り変更でリビング階段を設けたものの、リビングが圧迫されてしまった
・開放的な空間に憧れて大きな窓を設けたが、周囲の視線や夏の暑さが気になってカーテンを閉めてばかりで、せっかくの窓が生かせていない


<寝室におけるリノベーションの失敗事例>
・夜勤があるのに、東向きの場所に寝室を配置してしまい、強い日差しで朝早くに目が覚めるようになってしまった
・リビングや子ども部屋の音が聞こえる場所に寝室を配置してしまい、生活音が気になるようになってしまった
・収納が不足していて、持っている衣類や雑貨が収まりきらない


回避策:実際に生活するイメージをしながらプランニングする

先ほど紹介した失敗事例はいずれも、リノベーションの理想形を机上で考えてしまい、実際に生活するイメージがついていなかったために生じたものです。キッチンの失敗事例を例に見ると、これから子どもが産まれる予定なら「大きな冷蔵庫が必要になるだろう」「子どもがお手伝いすることもあるだろう」といったイメージを膨らませることで失敗を防げるでしょう。

また、リノベーションした住まいでの生活は数十年と続いていきます。今のライフスタイルのみならず、将来的なライフステージの変化も考慮してプランニングしたいところです。