キッチンの位置は何を基準にするべきか

リノベーションのプランを勧めるうえで、キッチンをどこに配置するかには、かなり頭を悩ませます。
キッチンの位置次第で、デザインやその後の生活に影響が出やすいためです。
まず、キッチンの位置は何を基準にして考えたらよいかという問題を解決しましょう。

マンションでは、コミュニケーションをとるLDK型が主流
今、最も要望が多いのは家族のコミュニケーションを重視したLDK型の間取りです。
以前はマンションの間取りは、個室を多くとる個室型が主流でした。それぞれ独立して設けることが一般的で、3DKという間取りが多く出回りました。
現在は、家族が集まるLDKを重視したいという要望が多くあり、2LDKという間取りが一般的です。この間取りではキッチンのリビング・ダイニングとの関連性が重要で、家族が集まりコミュニケーションをとることを重要視しています。
家族とのかかわりがキッチンにおいても重要になってきます

配管位置によっては、キッチンの配置が制限される
キッチンの位置はマンションの部屋の中で自由に移動できません。
お水やお湯、排水管、換気ダクトなど、キッチンにつながる様々な配管があり、移動の距離が制限されてしまいます。特に排水管は、キッチンからの排水を流すために「勾配」を確保する必要があります。この勾配が確保できる範囲でしか、キッチンは移動できません。
キッチンの移動範囲は専門家による調査が欠かせません。しっかりした調査を行い、移動できる範囲を決めてプランに反映させます。
 
配置を決めるには5つの要素を明確にする
実際に配置を決めるために5つの要素を明確にすると、プランを進めるための手掛かりになります。
家族構成・部屋の広さと窓の位置・必要な空間・照明や換気・予算やマンション規約
上記の5つを明確にしておくとプランを進めるために、何が必要になるかというヒントになります。自身で進めるときも、設計士さんと相談するときも必要になります。

動線計画からキッチンの位置を考える

動線とは、家の中で人が通る道を示したものです。大きく分けて、生活のための生活動線と家事を行うための家事動線があります。キッチンの位置を決めるうえで、この2つの動線を意識すると、家の中のどこにキッチンを持ってくればよいかというヒントになります。
効率的な動線計画を立てることは、家事を楽にすることでもあります。

生活動線と家事動線の違い
生活動線と家事動線の違いを明確にしておくと、キッチン位置を決める手助けになります。

● 生活動線
毎日の生活や、子育て、来客対応など、日常生活の活動点を結んだ道筋です。

● 家事動線
料理を作る、配膳する、食器を洗う、洗濯物を干す・たたむ、ゴミを捨てるなど、家事に関わる動作同士を結んだ道筋です。

2つの動線を整理する
生活動線と家事動線は、家族構成やライフスタイルによって重視する部屋や作業が異なります。何を重視するかを整理します。
キッチンでの料理の仕方、食事のとり方、リビングでのくつろぎ方、来客時の対応の仕方、育児のためのスペース、子ども遊びのスペース。このように、いつ、だれが、どのタイミングでするのかといった事柄を整理します。

互いの動線を整理して最適な位置を決める
動線を整理するうえで大切なのは、交差や重なりを最小限にする点です。
動線同士が交差してしまうと、流れを切ってしまうことになり、落ち着かない空間になってしまいます。
動線同士が重なってしまうと、移動時に渋滞が発生してしまうので家事が滞ってしまいます。

上手に使えるキッチン位置

家族とのコミュニケーションを重視し、家事をやりやすくするという2つの条件を満たすにはどうしたらよいでしょうか?
一つの答えとして、キッチン・リビングダイニング・サニタリーの3か所を上手につなげることだと考えます。

キッチン・LD・サニタリーの3か所を上手につなげる
キッチンとリビング・ダイニング、サニタリーを上手につなげるのがポイントです。
キッチンとリビング・ダイニングは、生活動線と家事動線の他に視線も通りやすくするのがポイントです。視線を通せば、動線どうしが交わらずともお互いに顔が見えるので、コミュニケーションがとりやすくなります。現在主流のLDKスタイルは、視線が通りやすくコミュニケーションには最適な環境と言えます。


一方、サニタリーとリビング・ダイニングは生活動線と家事動線が重なりやすいので、流れが滞りやすくなります。こちらは家族の生活習慣もおおいに関係してきます。動線同士の重なりが気になるようでしたら、家事の中心であるキッチンとサニタリーを直接つなげる方法もあります。家事動線と生活動線が分離され渋滞も起きにくくなります。