「間取りが生活スタイルに合わなくなった」

「建物の老朽化が気になる」

「中古物件を購入した」

「相続で親から家を受け継いだ」

このような理由でスケルトンリフォームを検討している方は多いのではないでしょうか。

スケルトンリフォームは、家の構造部分を残し、壁や床、天井などをすべて取り払う大掛かりなリフォームです。1,000万近くかかる大きな出費となるので、後悔しないためにも慎重に決めたいですよね。

新築住宅のように間取りが自由で、戸建ての場合は建て替えよりも安く済む、というイメージからスケルトンリフォームを選ぶ方がいますが、実は費用や間取り、工期、仮住まいなどさまざまな面でデメリットがあります。

そこで今回は、スケルトンリフォームを検討している方が事前に知っておくべきデメリットについて詳しく解説していきます。

デメリット① 建て替えより費用がかかる場合がある

※デメリット①は戸建ての場合になります。

スケルトンリフォームは既存の躯体を利用するため、建て替えよりも費用が抑えられると思われがちです。ところが必ずしもそうとは限らず、思ったよりも安くなる場合もあれば、建物の傷み具合によっては高くつく場合もあります。

なぜかというと、スケルトンリフォームは、建物を解体して柱など躯体のみの状態にするため、解体前には気づかなかった腐食やひび割れなどの劣化を見つけることがあるためです。

これはスケルトンリフォームの良さでもあり、欠陥箇所をしっかりと補強して古い建物でも耐震性を向上できます。

しかし一方で、「想定外に柱など躯体の老朽化が進んでいる場合」は、補修や補強箇所が多くなるので工期が長引き、工事費が増加してしまいます。

あまりにも状態が悪い場合は、建て替える方が効率的で価格を安く抑えられることもあるので、古い建物ほど注意が必要です。

リフォームは、工事の規模や建物の状態などの総合的な判断が必要で、一概に金額面のみで決められることではありません。

デメリット② 工期の予測が立てづらい

デメリット①でもお伝えしたように、スケルトンリフォームは、ふたを開けてみなければわからない部分があります。そのため、必ずしも予定通りの工期で進むとは限りません。隠れている構造の状態を完全に把握するのは難しく、一見問題ないように見える建物でも、解体後に予想外のダメージが見つかることがあるからです。

業者はある程度の予測を立ててプランニングしますが、当初の予定よりも補修や補強箇所が多くなると、必然的に工期が長引いてしまいます。

その他にも天候による遅延、建材・設備などの納期遅れなど、スケルトンリフォームには工期に影響する要素が少なくありません。工期予定がずれ込むことを見越して、十分に余裕を持った計画を立てましょう。

スケルトンリフォームは、何でも自由に計画できるというわけではありません。マンションやツーバイフォー工法の住宅は、建物の構造的な制約やマンションの規約で希望通りの間取りにできない可能性があります。

マンションの場合

<構造上の制約>

壁式構造のマンションの場合、建物を支えている耐力壁を動かすことはできません。むやみに壁を撤去すると建物の強度が低下してしまいます。

室内の壁すべてが耐力壁とは限らないので、構造に影響しない壁を取り除くことはできますが、思い通りの間取りにはならない可能性があります。構造の制約がある中で、希望を叶えるプランニングが必要です。

マンションの管理規約によっても間取りの自由度が下がる可能性があります。

共有部分の玄関ドアやサッシ、バルコニー、パイプシャフト(給排水管やガス管などを上下階に通すためのスペース)、外壁などは変更できません。

そのため、キッチンやトイレなどの水回り移動が難しかったり、エアコン設置のための新たな穴を外壁に開けられなかったりと、リフォーム範囲が限られてしまいます。また、オール電化にしたいと思っても、電気やガスなどの容量が決められている場合には不可能です。

マンションをリフォームする場合は、事前に管理規約の内容を確認し、希望のリフォームができるかどうかを調べておきましょう。

スケルトンリフォームは、住まいをゼロの状態から計画する新築や表面的なリフォームと比べると、プランニングに多くの時間がかかります。なぜなら、既存躯体の構造上の問題点を踏まえて新しい間取りや耐震プランを考える必要があるからです。

古い戸建ての場合は図面が残っていないことも珍しくなく、中には建てた当初の図面はあるものの、後に行った増築や改築により実際の建物と図面が異なっている、寸法が違う、ということもあり、現地調査に時間を要します。

また、解体後に予想外の問題があると、その都度業者との話し合いやプラン変更が必要になるので、計画通りに事が進まないのです。